|
|
本校では、「文字・活字文化」に親しみ、読書習慣を身につけてほしいと、読書推進活動に力を入れています。 一学期は「世界本の日」、二学期は「読書週間」にちなみ、「全校一斉読書キャンペーン」を実施してきました。 そして、三月二十日(月)には、本年度第三回目の「全校一斉読書」を実施しました。四十分間という短い時間でしたが、全校生徒は思い思いの本の世界を楽しみました。この行事で手にした一冊の本を契機に、いつもは本と縁の薄い人も、読書習慣を身につけてほしいと願っています。 ☆ 日時:3月20日(月) 8:40〜8:45 教頭より啓発放送 8:45〜9:20 全校一斉読書
☆ 教頭の放送内容より
みなさん、おはようございます。 今日は、「全校一斉読書」ということで、みなさんにある本の一節を紹介したいと思います。
アメリカの奥深く分け入ったところに、ある町があった。生命あるものはみな、 自然と一つだった。町のまわりには、豊かな田畑が碁盤の目のようにひろがり、穀 物畑の続くその先は丘がもりあがり、斜面には果樹がしげっていた。春がくると、 みどりの野原のかなたに、白い花のかすみがたなびき、秋になれば、かしやかえで や樺が燃えるような紅葉のあやを織りなし、松のみどりに映えて目にいたい。丘の 森からきつねの吠え声がきこえ、鹿が野原のもやのなかを見えつかくれつ音もなく 駆けぬけた。 道を歩けば、ああめりかしゃくなげ、がまずみ、はんの木、大しだがどこまでも 続き、野花が咲き乱れ、四季折々、道ゆく人の目をたのしませる。 (中略) ところが、あるときどういうわけか、暗いかげがあたりにしのびよった。いまま で見たことも聞いたこともないことが起こり出した。どうしたことか、若鶏はわけ の分からぬ病気にかかり、牛も羊も病気になって死んだ。どこへいっても、死の 影。農夫たちは、どこのだれが病気になったというはなしでもちきり。 (中略) 自然は、沈黙した。うす気味悪い。鳥たちは、どこへ行ってしまったのか。みん な不思議に思った。裏庭の餌箱は、からっぽだった。ああ鳥がいた、と思っても、 死にかけていた。ぶるぶる体をふるわせ、飛ぶこともできなかった。春がきたが、 沈黙の春だった。
この本は、アメリカの海洋学者で作家でもあったレイチェル・カーソンが、1962年に書いた、『沈黙の春(サイレント スプリング)』(青樹簗一訳 新潮社刊)という本の冒頭文です。この本は、環境の汚染と破壊の実態をはじめて世界中の人びとに知らせた本として、今も読み継がれています。 この本は、科学的な知識と命への深い愛情、そして、それをわかりやすく物語として伝える力があって出来上がった名作だと思います。 みなさんも自分は理系だ文系だと決めつけないで、広い視野をもってしなやかな考えができるよう、いろいろな世界に興味を持ってほしいと思います。 今日の読書の時間がそのきっかけになればいいなと思います。 では、一時間、読書を楽しみましょう。
|
|